松尾慈子
【大阪】海外大学を目指す後輩の助けになれば――。この春に灘高校(神戸市)を卒業した大学生、石川将さん(18)が、海外大を目指す高校生たちへ、自分たちが使い終えた教材を譲るサイトを4月に立ち上げた。「海外進学に向けた問題集は高価で、書店にも多くはない。サイトの利用で教材入手の負担が少しでも減れば」と石川さんは期待する。
石川さんは現在、東京大学理科1類に在籍しており、秋には米国・ペンシルベニア大学ウォートン校に入学する予定だ。中学時代はロンドンに住み、灘高へ進んだ。進路を考えたとき「研究が進んでいる米国で、経済学と心理学をあわせた行動経済学をやりたい」と海外大を目指した。
しかし、米国の大学に出願するには大学進学適性試験(SAT)などを受ける必要がある。「SATの問題集は大阪の大きな書店でも在庫は少ない。1冊4千円前後と高価だから中身を確認してから買いたいのに、ネット書店では中身を見られない」。結局、辞典ほどの厚さのSAT問題集を2冊買ってやりこんだ。
この春志望大に合格し、使い終えた受験教材は不要になったが、海外大受験を通じて知り合った友達と「高価な教材をただ捨てるのはもったいない」と意見が一致した。また、地方に住む同世代の友人らから、地方在住では海外大の受験情報を集めにくく、教材選びや入手でも困るという話を聞いた。
経験者の教材を譲る場があれば、適切なテキスト選びの一助にもなると考え、友人と「テキスト譲渡ポータル」(https://ohurubook.wixsite.com/website)を立ち上げた。
サイトは会員制で、管理者の承認を受けてからグループページに入り、やりとりができる。既に登録は50人を超えた。石川さんは「実は海外大の門戸は誰にでも開かれている。高校生が、選択肢の一つとして海外大を視野に入れる一助となれば」と話す。(松尾慈子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル